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  • 執筆者の写真茶の湯の郷 自由な茶人コミュニティ

お稽古記 (文・釈妙果)

更新日:2022年6月8日

※2020年10月に制作した玄滴庵の文集『嘉木』より掲載しています。




🍃にがいお茶(ある日のお稽古)  

             

先生と二人で お点前をしたところ、飲まれた後に 

「御自服でどうぞ!」と声をかけていただいた。

 

おもわず「にがい」と声が出た。本当に苦いお茶だった。


不思議だった。いつも点てるお茶なのに?どうして今日は 苦いのか?


その前日の手帳に「吐き気で夜眠れず、全部出したところで眠りにつく」と記されていた。

そうなんだ!あのお点前はわたしの残りの毒?指先から出たという事?

あの日は前夜の出来事も忘れていた。

しばらくお点前が怖かった。苦いお茶になっていないか?と

 苦いお茶はあの日だけのよう・・・ただ不思議な気持ちだけは残っている。


お点前はそのときを受け取り こころで お茶に表す。

平常心とは?自分の身の丈にあった座に就く。

座る位置から決まる。手が自然と伸びてそれぞれのお道具が置かれ、素直な流れでお湯が注がれ、美味しいお茶になる。

頭ではなく、身体の動きがお稽古を重ねる中で、育まれていく。 

静かにお稽古に集中する。炭の香り、袱紗に込めた礼につくすこころ、器も季節感あり、棗も手で慈しみ、抹茶はお相手に合わせて茶杓でさじ加減する。


書き出だすだけで言葉の足らなさに気が付く。言葉ではなく五感で受けとめ、五感で返す。

その繰り返しが、いつしか身体にしみつき 人となりを醸し出すのだろう。

あの苦い茶の不思議は大きな問いかけとなった。



🍃空の点前・Zoomでのお茶会


五月十七日、国立博物館のお茶室、転合庵でお茶会の予定でした。

コロナで茶会は、中止です。

転合庵では飲食しないで

会場での雰囲気を楽しんで 

仲間内で「空点前」をしたら?

五月の新緑を取り込んで・・・

それも 難しくなり・・・(会場閉鎖)


先生の茶室「玄滴庵」で「空の点前」のお稽古に挑戦!


こんな時だからこそ 空点前

お道具だけを置いて ご挨拶

畳を足の裏で感じ

茶室に足袋と畳の擦れる音

お道具を定位置に置き

空気を感じ 気配を感じ

イメージの世界


釜の中は空

水指も空

もちろん棗も空

静かに浸る世界

終了したときは おー!

なんだろう!?

清々しい!

一つひとつの所作が

回を重ねるごとに 滑りだしていくのです。


きっとみなさんの気がいっぱい詰まっている

茶室での不思議!指先まで感じる不思議体験!


茶会の予定されていた日に、Zoomで空点前をしました。

粛々と空点前


観ていた方は、え?お道具だけ?

うそ?いつもの稽古と同じだったよ?


お稽古に来れない五人は

画面を食い入る様に観ていたとの事


何もない空だからこそ

そのものを感じ取り

時空に浸る

あるように感じ取る

そこは無の世界


🍃🍃🍃


お茶の稽古のご縁は、先生との出逢い

どんどん引き込まれ、

お道具を私の身の丈に配置、

主役は自分自身 

点前を重ねるごとに

素の自分が顔を出す

祖母の着物を身にまとい

わたしだけの空間が生まれる

            釈妙果

              

2020年5月の空のお点前を画面越しにて(静けさに加え、湯の音が聴こえてくるようでした)


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