
玄滴庵からのメッセージ
玄滴庵で歩む茶の湯の道~世界と人類の平和によせて~
茶の湯の道は、自身の身体をもって、自身の命を立て、
自らのうちにある「静寂」に出逢う道です。
これは、全ての人がうちに持っているもので、
点前の稽古を繰り返す中で、次第に気づき、深まっていくものです。
その「静寂」は、外的なできごとに圧倒される必要がないこと、
目の前の余りある「ゆたかさ」を観ることを教えてくれます。
そして、その「静寂」は、
私たちが自他の区別がないことを学ぶための盤石な土台です。
「主客の区別なく」と先師の教えにもあるように、
主人や客人の良しあしを判断することなく、
主客助け合い、茶の湯を共に楽しむ。
そんな調和の精神は、茶室を出ても、
評価や批判、競争、戦争といった選択肢を
選ばない勇気と智慧をもたらしてくれます。
こういった在り方は、いつの時代も、「本来のゆたかさ」が循環する世界への希望です。
疲弊し、消耗するような豊かさを追い求めることは人類の本分ではなく、
無理なく、慈しみ合いながら、世界のあらゆる存在にとって循環していく「ゆたかさ」を
実現していくことが人類の本分なのではないか。
そう思うからです。
先師の教えに「水が流るるようにお点前をする」というものがあります。
そのように、私たちが「我々自身の自然」を思い出すこと、
自身の源流に出逢うことが
人類にとっても大きな一歩になると感じています。
そうやって、自分に、他者に、動物に、草木に、水に、土に
優しい世界を実現しようとする「人類」としての動きの一助でありたいと思います。
そして、茶の湯の道は、
いつでも私たちの日常に繋がっています。
季節を遊び、水や火などの自然と戯れ、
茶器などの「もの」を扱うことを知り、
重力あるこの世界で身体をもって表現する。
茶の湯の道は、求めに応じて応えてくれる
まさに奥の深い総合生活芸術。
目の前の生活がもっとゆたかに、
もっと活き活きと繊細に輝き始めるヒントが詰まっています。
茶の湯の郷・玄滴庵では、
お越しいただいたお一人おひとりに、精いっぱい伴走いたします。
そうして、一人ひとりが体得していった静寂・調和・ゆたかさのつながりが、
これからの時代のための新たなコミュニティとなっていくことを願っています。
私たちもまだまだ道半ばにある見習い茶人です。
ぜひ、ご一緒に茶の湯の郷を見出し、拓き、楽しみましょう。
玄滴庵にてお待ちしています。

玄滴庵
東京都台東区浅草橋。
第二次世界大戦中の東京大空襲の戦火を逃れ、
残った建物の中に、
中川宗秀が自身で設計した4畳半のお茶室が構えられています。
静謐で、温かみのある空間へ
ぜひ、お越しください。